忍者ブログ
気ままに語ります。SQやコミックス、その他もろもろ発売日当日にネタバレしたりしてますのでご注意ください。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

前に拍手お礼文に、と思って書いたものの中途半端で放置してあったものに書き加えて仕上げてみましたがだらだら長くなっただけのような気がするので与太SSの方へまわしました。

連載更新するには時間が足りませんでした。すみません~。
先週は仕事が忙しくて1週間まるまるブログ書いてない!という状況でいかんなあと思いました。3月もバタバタしまくるんですができるだけブログも書きたいです。でないと放置癖がついてしまう…。


更新もブログも止まっていた間、拍手ありがとうございました!
連載へのコメント、いつもありがとうございます!レス不要でのコメントもありがとうございました!
すみません、今回はここでまとめてお礼を言わせて頂きます。
仁王の役回りが良かったとのお言葉すごくうれしかったです!仁王の出番が長かったのはモアプリの影響です…(笑)

与太話は追記からどうぞー。













「遅いぞ、幸村」
「ああ、ごめんごめん。ちょっと新聞部に掴まっててさ」
「新聞部?」
「うん。これ、真田の分ね」
「何だ……?」
幸村から手渡されたのは1枚の紙切れ。幸村の手にはまだ数枚の紙が握られている。
「アンケートに答えてくれって頼まれたんだ。テニス部新レギュラー特集を組むそうだよ」
「新レギュラーなら柳生たちで俺たちは不要だろう」
「3年引退後のレギュラー全員だってさ。でもこれ、テニスに関係ないことばっかりだなあ」
「得意な科目、好きな言葉、おこづかいの使い方……?何だ、これは。くだらん!」
「まあそう言うなよ。協力してやろう」
新部長となった幸村がそう言い、断固として拒否するほどのことでもないので真田もそれ以上は
言わなかった。
「蓮二!部活前に終わらせよう」
「すまないが今、手が離せないんだ」
「じゃあ読み上げていくから答えてよ」
「ああ」
柳は振り返りもせず頷いた。
柳は今、入部したばかりの新1年生のグループ分けに没頭している。本来これは新部長の幸村の
仕事のはずなのだが面倒臭がりの幸村がやろうとしないので仕方なく柳がやっていた。
適当でいいよと幸村は言うが、効率の良い練習をと新1年生の体格や体力、テニスの経験などを
考慮し始めると手が抜けなくなっていた。
「ええとじゃあ柳蓮二、3年F組19番。委員会は生徒会書記、6月4日生まれのA型。
身長181センチ、体重67キロ、足のサイズ26センチ、視力0.8……と」
幸村は柳のパーソナルデータを書き込んでいく。足のサイズや視力までよく覚えているなと
真田が感心した。
「学校内でよく行く場所は?……蓮二は図書室だな。真田は和室だろ」
「ああ」
「蓮二、出身小学校はどこだっけ?」
「神奈川第二小学校だ」
柳が答える。
「こっちに来る前は?」
「緑川第三小学校」
「みどりかわだいさん、ね。えーとじゃあお小遣いは何に使う?本だな。そうだろ?」
柳は聞いているのかいないのか、相槌を打つように頷く。
「座右の銘は?」
「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす」
「え?何て?」
「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす」
「……千日の稽古を鍛とし?」
「万日の稽古を錬とす」
柳は新1年生の名簿と自分のデータを書き込んだノートに目を落としたまま機械のごとく
繰り返した。完全に意識は1年生のグループ分けに没頭しており、幸村がそれどういう意味?と
尋ねても返事はなかった。仕方なく幸村は携帯電話を取り出して調べてみた。
「ああ、なるほどね。さすが達人だな」
蓮二らしい、と幸村は呟いて用紙に書き込む。
好きな映画や本、音楽などは聞かなくても知っている幸村は柳に問わず勝手に書き連ねて、
次の質問となったところで手を止めた。
「蓮二」
「うん?」
「俺と行きたいところ、ある?」
「……精市と?」
柳が顔を上げ、真田がどこにそんな質問があるのだと言った。
「ここにあるだろ」
「……幸村、これは『行きたいデートスポット』となっているが」
「だから俺と行きたいところだろ」
「……」
堂々と言いきられて真田が言葉に詰まった。どこをどうしたらそう繋がるのか。
柳はそのやりとりを見ると時間が惜しいとばかりに作業に戻った。
「蓮二、どこ行こうか?」
「文学資料館」
とりあえず行きたい場所を挙げてみる。次の休みあたりに行くことになるだろうと頭の中の
予定表に書きこんでおくことにした。
「今一番ほしいものは?」
「日本文学大系」
柳が即答したので切実にほしいようだと幸村は考える。
「好きな子のタイプは?」
「赤也」
さらりと言われたので幸村もその通りに紙に書き込んでから手を止めた。
「いやいやさすがにそのまんまを書くわけにいかないし」
真田のペンケースから消しゴムを取り出して赤也の2文字を消した。
「もっと抽象的に言ってよ」
「抽象的?難しいな……」
「じゃあ赤也の好きなところをあげてよ」
「……それはもっと難しい」
「なんでだよ」
幸村に続いて無言でいた真田もさすがに手を止めて顔を上げた。
「蓮二ってさ、赤也の好きなところいつも言えないよな」
「……そうだったか?」
「いつも言葉に詰まってるよ。なんで?」
「言葉にするのは難しいんだ」
「はぐらかしてる?」
「そうじゃない」
「ふーん……」
あきらかに納得していない様子の幸村を残して柳がまた作業に戻ってしまった。
机の上をシャーペンの先でトントンと音を立てながら柳を見ていた幸村だったが
柳はもはや一瞥もくれなかったので諦めて幸村も作業に戻ることにした。

そうして出来あがった立海新聞を読んだ柳は顔を顰めて幸村に苦言を呈したのだが、
幸村はけろりとしていた。
「蓮二の好みそうな女の子のタイプを書いただけだよ。俺なりにインパクトのある言葉を
探してみたんだけど」
「…………」
「結構いいセンいってると思うんだけど?」
「…………」
「赤也はどんな反応するだろうねえ」
切原はというと当たり障りなく「明るい子」などと答えていた。それに比べて柳は。
いや俺が答えたわけじゃない、と自らに言い訳していると騒々しい足音が聞こえてきた。
「あ、来たね」
「…………」
「柳先輩!!」
新聞片手に飛び込んできた切原を柳は何ともいえない表情で振り返った。


end


蓮二さんの好みのタイプは計算高い女。だと思った幸村精市。



PR
忍者ブログ [PR]
"ともえ" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.