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気ままに語ります。SQやコミックス、その他もろもろ発売日当日にネタバレしたりしてますのでご注意ください。
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夏コミのカタログを買ってきました。
相変わらず分厚くて重い。必要なのはこの中の数ページだけなのに。
まあ何というか、赤柳少なかったです(笑)
柳受に範囲を広めるとそこそこなんですけどね~。



久々に与太SSです。



俺と柳先輩の家は近い。
だから毎日たいてい一緒に帰っている。そしてそのほとんど、真田副部長が一緒にいる。
果てしなく不本意だけど仕方がない。柳先輩と真田副部長の家が近いからだ。俺と柳先輩の道が分かれてもその先もうしばらくは柳先輩と真田副部長は一緒で、それがたまらなく嫌だけど家を引っ越すわけにはいかないからひたすら我慢している。
柳先輩と真田副部長の家が近いということは、俺と真田副部長の家も近いということに気付いたのはつい最近になってからだけど、そんなことはどうでもいい。むしろ気付かないでいたかったと思うくらいだけど、そんなことは本当にどうでもよくて、今気になってるのは、そのたいてい3人で帰る羽目になっているところが今日は4人になっていたことだ。
「……あのー、部長?」
「なんだい」
「部長の家、あっち方向っすよ」
反対側を指でさす。
幸村部長の家は俺たちとは逆方向で、学校を出るとすぐにさよならになる。なのに今日はてくてくと、部長も同じ方向に歩いている。
「今日はこっちなんだよ」
「……」
今日は、こっち?俺はハッとして真田副部長、幸村部長、柳先輩、俺という並びから部長と柳先輩の間に割り込んだ。
「赤也?」
柳先輩が俺の行動に不思議そうにしたけど気にしていられない。
ここは断固として言わなきゃいけない場面なんだ。
「今日はダメっすよ!」
「何が?」
俺は幸村部長に向かって言ったので部長が聞き返す。
「柳先輩は今日、俺の家に泊まってくれる約束なんです!そうっすよね?」
柳先輩を振り向いて同意を求めると「そうだが?」と答えがあった。
また幸村部長へと向き直る。
「だから今日はダメっすよ!」
断固として。せっかく約束したのに柳先輩をとられるなんて冗談じゃない。ダメダメ絶対ダメ、と目に力を込めて幸村部長を見上げると、部長はそんな俺の顔を10秒間ほどじーっと見てから手をスッと伸ばした。
「いてえ!」
顔というより額に指先が当たったかと思うと脳天までひびくような衝撃があった。
「まだ何にも言ってないだろ」
額を手で覆って痛みに耐えてる俺にそんなに痛かった?と幸村部長は首を傾げているが、パワーSでデコピンされたら痛いに決まってる。
「だって、今日はこっちって」
「そうだよ?今日は、こっち」
俺が指すこっち、は柳先輩だけど幸村部長の指した先は反対側にいる副部長だった。
「へ?」
「そういうわけだ、赤也」
と俺の手をのけて代わりに額をさすってくれたのは柳先輩だ。
「今日は副部長んとこに泊まりっすか」
「真田の家に花壇があるんだけど」
「は?」
庭が広いんだ、と幸村部長は続けて、俺はああそうっすね、と答えるしかなかったから答えた。
「せっかく広いのにどことなく殺風景だなって思ってさ」
「はあ」
「おじいさんだっけ?見事な盆栽とかはあるけどスペースの使い方がもったいなくて見せ方があんまり上手くなくて」
「はあ……」
何の話だろう。柳先輩を見上げてみても先輩はどことなく可笑しげな表情で聞いていた。何が可笑しいのかも良く分らないでいる俺にずっと黙ったままだった真田副部長が口を開いた。
「祖父ではなく母だ。母が園芸に疎くてな。せっかくの庭がこのままではもったいないと言うから」
「俺が頼まれたってわけ。でもあんな大きな庭をきれいにするって時間かかるんだよ。でも今日はちょうど金曜日だろ?」
「休みを潰して庭をきれいにしてもらうのだ。それなりにもてなせねばならんと母も祖父も言っていてな」
「お言葉に甘えてお邪魔しようってわけ」
この2人はたぶん俺に言ってるんだろうけど。
要は今日から日曜日まで真田副部長の家に泊まるってことで、それならそうって言えばいいのに。
なんでそんな遠まわしに言うんだろう。
まあ今回は柳先輩まで道連れにならなかったからいいけど。
でもなんとなく釈然としない気分でいると曲がり角が見えてきた。
ここでいつもなら柳先輩とさよならするんだけど今日は違う。
今日はこのまま先輩は俺の家にお泊りコースだ。
それじゃまた月曜に。手を振って俺と柳先輩は左手側の角を曲がった。
2人になったとたんに柳先輩がくすくすと笑い出した。
「どうしたんすか?」
「いや、さっきの2人が可笑しくてな」
「あー。どうしたんっすかね?部長も副部長も。ふつーに副部長の家に泊まるんだって言えばいいのに。あれじゃ何か副部長の親に頼まれただけって感じじゃないっすか」
そう言うと柳先輩は笑みを浮かべたまま俺を見た。
「あの2人はまだあれが精一杯なんだ」
「あれって?」
「たとえば俺も今日は赤也の家にお邪魔するが、泊まるのに特に理由はないだろう?」
そりゃ確かに誘ったときも「今日金曜だから泊まりに来ませんか」としか言わなかったけど。
「休みの日も一緒にいたいからっすよ?」
「そうだな。でも精市も弦一郎もまだそれを1番の理由にできないということだ」
「へ?」
ってことはつまり。
「あの2人、まだ付き合ってないんすか?もしかして」
「微妙なところだな。気持ちは伝えているだろうが、まだ行動に言い訳が必要なんだろう」
「はあ。それが園芸?」
「そういうことだな」
祖父と母を引き合いに出してまで言い訳する必要があるのかなと思うけど。
「一緒にいたいなら一緒にいたいって言えばいいじゃないっすか」
「それが難しいんだそうだ」
「ヘンな言い訳作る方が難しいと思うっすけど」
「もう少し時間が必要なのだろうな」
「俺と柳先輩にはそんなのなかったっすよね、最初から」
「そうだな。そういえばなかったな」
顔を見合わせて笑う。なんとなく自慢したい気分だった。
真田副部長と幸村部長に、柳先輩のお泊りの理由は一緒にいたいからっすよ!……って言ったらもれなく部長のデコピンが来るだろうってことは柳先輩のデータがなくても分かることだけど。
「あの2人、早くちゃんとくっつくといいっすね?」
そう言ったら柳先輩が自分のことのように真剣に、でも嬉しそうに笑って頷いた。






------end





できあがった赤柳とやっとくっついたような真幸でした。




拍手ありがとうございます!
追記にレスです。






>>7/21 22:39にパチコメしてくださった方へ
こんばんは!ありがとうございます!珍しく余裕入稿でした(笑)
ちょっといつもと違うので楽しんで頂けると良いのですが!原稿中だったのでブログに短い与太SSを上げるばっかりでしたが読んでくださってありがとうございます!そろそろサイト更新も再開しようと思ってますのでまた遊びにきてくださいね!




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