気ままに語ります。SQやコミックス、その他もろもろ発売日当日にネタバレしたりしてますのでご注意ください。
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明日、SQゲットできるかなーとわくわくどきどきしております。
朝にゲットできても読んだら仕事が手につかなくなりそうなので家帰ってから読もうと思います。
以下、与太SSです。
「精市は、いつから弦一郎を好きだったんだ?」
次の数学の試験はこのあたりを中心に出題される、英語はこのあたり、と退院して間もない幸村に試験の出題傾向を教えているのに紛れて柳が突然言い出したため、さすがに幸村も反応が遅れた。
「なに、急に」
「いや、そういえば聞いたことがなかったなと思って」
聞いたことがないどころか幸村が真田を、という話題さえ口にしたことはなかった。柳もそして幸村も。
「試験のこと話してたにそんなこと考えてたの?」
幸村は入院していて遅れてしまっている勉強を取り戻そうと懸命になっていたから完全に不意打ちだった。
「隙をつかないと精市は答えてくれないからな」
「……言わなくても分かるんじゃないの」
素っ気なく幸村は教科書に目線を落とす。
「まあだいたいこのあたりだろうと推測することはできる」
「じゃあそれでいいよ。蓮二の想像通りで」
「本当か?俺が知りたいのはそのとき精市がどういう気持ちになったか、ということなんだ」
「なにそれ?」
幸村が顔を上げる。柳を見ると今までにあまり見たことのないような、面映ゆい表情でいて幸村はどうしたのさと尋ねた。
「蓮二はどうしてそれを知りたいんだい」
それ、というのはつまり恋心というものなわけで、それを知りたいという柳に幸村は目を細めた。行儀悪く机に頬杖をつく。
「つまり蓮二に気になる相手ができたってわけだ」
「……なんでいきなり機嫌が悪くなるんだ」
「べっつにー?そうか、とうとう蓮二にも好きな相手ができたってわけだ」
「好き、かどうかは……」
語尾が弱くなる。まだ自分で判断できていないらしい。それでいきなり真田の話が出てきたのか、とようやく幸村は納得した。
「で、誰?」
「え?」
「蓮二の好きな人」
「……分かるんじゃないのか?」
「まあだいたい想像はつくんだけどね」
想像はつくけれどまさか、と思う気持ちもある。
「でもそういう気持ちの内訳って人それぞれじゃないのかな」
「かもしれないが、少しでも参考になればと思ったんだ」
「そうだなあ」
幸村は席を立って柳の前まで移動する。
「こういう感じじゃない?」
言って、幸村は柳の頭を抱え込むように腕を回した。
「精市?」
「こうやってさ、ぎゅーっってしたくなるんじゃない?」
柳は少し黙っていたが同じように幸村へ腕を伸ばした。
「……そうかもしれない」
背中に回った腕を感じながら幸村はきっと絶対に今、身代わりにされていると思った。
柳がぎゅうっとしたくなる相手はやはりあいつだろうか。
はっきり聞くのも何だか嫌だ。
特に離れるきっかけがなかったからくっついたままでいると、小さな物音がした。そういえば教室のドアは開けっぱなしだった、と気づいて幸村が視線を投げるとそこにはあ、の形で口を開けたまま突っ立っている後輩が1人いた。柳はちょうど背を向けているから背後の存在には気づいていない。
さてどうしようか、と幸村は少し考えた末にそのままの体勢で言葉を口にすることもせずにただゆっくりとほほ笑んでみせた。
そうすると後輩は怯んだように踵を返した。
誤解させたかもしれない、と思ったがすぐにそれはそれでいいやと思い直す。どうせそのうち誤解は解けるのだ、少しくらいはいいだろう。
真田への気持ちも柳への気持ちも大差ないんだけど、と言えば柳はどうするだろうか。しかし今さら言ってももう遅いだろうと幸村は分かっていた。
あーあ、入院してる間に大事なもの攫われちゃったなあ……とやや感傷に浸っているとまた誰かが来たようだ。
「まだ残っていたのか」
教室で2人、傍から見れば抱き合っているように見える柳と幸村に驚きもせず真田が教室に入ってくる。
「風紀の仕事は終わったのか」
柳が真田に声をかけると同時に幸村が柳から離れた。
「ああ。もう帰るところだがお前たちはどうする」
「俺たちも帰ろうか、精市」
「そうだね」
それにしてもさすが真田、俺と蓮二が何してようとすっかり慣れて気にしなくなったな、と妙な感心をすると同時にまだまったく慣れていないだろう、さっきの後輩を思い出す。
「あのさあ、蓮二」
さっき、真田が来る前にあいつがいたんだけど。
そう教えてあげるべきだろうか。
「なんだ?」
柳はやはり気づいていなかったのだろう。
どうしようかなあ。
どちらかというと即断即決の幸村だったがこれには少しばかり迷った。
「……やっぱり、いいや」
教えてあげない。
柳は何も知らないとして、あの後輩はどうするだろう。
それを見てからでもいいやと幸村は言わないことにした。
さっき、赤也がいたんだよ―――とは絶対に。
相変わらず蓮二さん大好きな幸村でした。
拍手ありがとうございます!
レス不要メッセージもいくつか頂きました。
ありがとうございますー!
朝にゲットできても読んだら仕事が手につかなくなりそうなので家帰ってから読もうと思います。
以下、与太SSです。
「精市は、いつから弦一郎を好きだったんだ?」
次の数学の試験はこのあたりを中心に出題される、英語はこのあたり、と退院して間もない幸村に試験の出題傾向を教えているのに紛れて柳が突然言い出したため、さすがに幸村も反応が遅れた。
「なに、急に」
「いや、そういえば聞いたことがなかったなと思って」
聞いたことがないどころか幸村が真田を、という話題さえ口にしたことはなかった。柳もそして幸村も。
「試験のこと話してたにそんなこと考えてたの?」
幸村は入院していて遅れてしまっている勉強を取り戻そうと懸命になっていたから完全に不意打ちだった。
「隙をつかないと精市は答えてくれないからな」
「……言わなくても分かるんじゃないの」
素っ気なく幸村は教科書に目線を落とす。
「まあだいたいこのあたりだろうと推測することはできる」
「じゃあそれでいいよ。蓮二の想像通りで」
「本当か?俺が知りたいのはそのとき精市がどういう気持ちになったか、ということなんだ」
「なにそれ?」
幸村が顔を上げる。柳を見ると今までにあまり見たことのないような、面映ゆい表情でいて幸村はどうしたのさと尋ねた。
「蓮二はどうしてそれを知りたいんだい」
それ、というのはつまり恋心というものなわけで、それを知りたいという柳に幸村は目を細めた。行儀悪く机に頬杖をつく。
「つまり蓮二に気になる相手ができたってわけだ」
「……なんでいきなり機嫌が悪くなるんだ」
「べっつにー?そうか、とうとう蓮二にも好きな相手ができたってわけだ」
「好き、かどうかは……」
語尾が弱くなる。まだ自分で判断できていないらしい。それでいきなり真田の話が出てきたのか、とようやく幸村は納得した。
「で、誰?」
「え?」
「蓮二の好きな人」
「……分かるんじゃないのか?」
「まあだいたい想像はつくんだけどね」
想像はつくけれどまさか、と思う気持ちもある。
「でもそういう気持ちの内訳って人それぞれじゃないのかな」
「かもしれないが、少しでも参考になればと思ったんだ」
「そうだなあ」
幸村は席を立って柳の前まで移動する。
「こういう感じじゃない?」
言って、幸村は柳の頭を抱え込むように腕を回した。
「精市?」
「こうやってさ、ぎゅーっってしたくなるんじゃない?」
柳は少し黙っていたが同じように幸村へ腕を伸ばした。
「……そうかもしれない」
背中に回った腕を感じながら幸村はきっと絶対に今、身代わりにされていると思った。
柳がぎゅうっとしたくなる相手はやはりあいつだろうか。
はっきり聞くのも何だか嫌だ。
特に離れるきっかけがなかったからくっついたままでいると、小さな物音がした。そういえば教室のドアは開けっぱなしだった、と気づいて幸村が視線を投げるとそこにはあ、の形で口を開けたまま突っ立っている後輩が1人いた。柳はちょうど背を向けているから背後の存在には気づいていない。
さてどうしようか、と幸村は少し考えた末にそのままの体勢で言葉を口にすることもせずにただゆっくりとほほ笑んでみせた。
そうすると後輩は怯んだように踵を返した。
誤解させたかもしれない、と思ったがすぐにそれはそれでいいやと思い直す。どうせそのうち誤解は解けるのだ、少しくらいはいいだろう。
真田への気持ちも柳への気持ちも大差ないんだけど、と言えば柳はどうするだろうか。しかし今さら言ってももう遅いだろうと幸村は分かっていた。
あーあ、入院してる間に大事なもの攫われちゃったなあ……とやや感傷に浸っているとまた誰かが来たようだ。
「まだ残っていたのか」
教室で2人、傍から見れば抱き合っているように見える柳と幸村に驚きもせず真田が教室に入ってくる。
「風紀の仕事は終わったのか」
柳が真田に声をかけると同時に幸村が柳から離れた。
「ああ。もう帰るところだがお前たちはどうする」
「俺たちも帰ろうか、精市」
「そうだね」
それにしてもさすが真田、俺と蓮二が何してようとすっかり慣れて気にしなくなったな、と妙な感心をすると同時にまだまったく慣れていないだろう、さっきの後輩を思い出す。
「あのさあ、蓮二」
さっき、真田が来る前にあいつがいたんだけど。
そう教えてあげるべきだろうか。
「なんだ?」
柳はやはり気づいていなかったのだろう。
どうしようかなあ。
どちらかというと即断即決の幸村だったがこれには少しばかり迷った。
「……やっぱり、いいや」
教えてあげない。
柳は何も知らないとして、あの後輩はどうするだろう。
それを見てからでもいいやと幸村は言わないことにした。
さっき、赤也がいたんだよ―――とは絶対に。
相変わらず蓮二さん大好きな幸村でした。
拍手ありがとうございます!
レス不要メッセージもいくつか頂きました。
ありがとうございますー!
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